【プロが解説】検食とは?安全・安心な給食を守る検食のチェック項目と検食簿の書き方

給食運営に携わる施設長や栄養士の皆様にとって、調理現場の安全管理は最も神経を使う業務の一つかと存じます。
そのような中、提供直前に行われる「検食(けんしょく)」は、食中毒や異物混入を防ぎ、利用者の満足度を担保するための「最後の砦」とも言える極めて重要な工程です。
今回は、検食の本来の目的から具体的なチェックポイント、そして信頼を支える「検食簿」の書き方について詳しく解説します。
この記事の筆者・監修者

名阪食品お役立ち情報発信チーム
名阪食品の「お役立ち情報」の編集者。「すべては、お客様の健康で楽しく豊かな食生活のために」を理念に1日約7万食の給食を提供している。給食運営施設は学校・保育・高齢者施設・社員食堂と幅広く、お客様のお悩みや喜んでいただいた事例を発信している。
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1. 検食(けんしょく)とは? その目的と重要性
検食とは、調理された食事を「利用者に提供する前」に、責任者が実際に試食して安全性や品質を確認する作業のことです。
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・安全性の最終確認:異物や加熱不足のチェック |
検食を行うことで、万が一の異常を察知した際に提供を中止し、事故を未然に防ぐことが可能となります。単なる味見ではなく、喫食者の健康と命を守るための最終フィルターとしての役割を担っています。
2. 法律と規則:なぜ検食は「義務」なのか
検食は、食品衛生法や「大量調理施設衛生管理マニュアル」に基づき、給食運営において必須業務として位置付けられています。
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・実施時期:提供の30分〜1時間前に実施(異常発見時の対応時間を確保) |
これらを遵守することは、施設としての信頼性を担保するだけでなく、日々の調理技術の向上や、原因究明のための重要なエビデンスとなります。
3. 検食の具体的なチェックポイント
検食は、以下の3つの視点から客観的に評価することが求められます。
(1)試食による味と食感の評価
実際に口に運び、塩分や糖分が適切かを確認します。特に高齢者施設等では、嚥下(えんげ)しやすい適度な硬さやまとまりになっているかを念入りにチェックします。
(2)視覚・触覚による品質確認
異物混入がないか、彩りは献立通りかを確認します。また、「温かいものは温かく、冷たいものは冷たいか」という提供温度の確認も、美味しさを左右する重要なポイントです。
(3)記録と改善への活用
検食の結果は単に「異常なし」で終わらせず、調理現場へフィードバックします。「もう少し野菜を小さくカットした方が食べやすい」といった具体的な意見が、次回の品質向上に繋がります。
4. 信頼を支える「検食簿」の主な記載内容
検食簿は、施設の安全管理体制を証明する公式な文書です。主に以下の内容を正確に記入します。
| 記載項目 | 確認内容のポイント |
|---|---|
| 基本情報 | 実施日時、検食者名、全メニュー名(献立との不一致がないか) |
| 品質評価 | 味・香り・彩り・提供温度・異物の有無を多角的に判定 |
| 改善指示 | 味の濃淡やカットサイズ等、現場への具体的なフィードバック事項 |
5.業態別にみる検食の役割と重点ポイント
検食で注目すべき点は、施設の利用ターゲットによって異なります。委託給食会社として、私たちは各現場の特性に合わせた評価基準を持っています。
(1)学校給食:発育を支える栄養と食育
子どもたちの健全な成長を支えるため、栄養価の担保はもちろん、自国の食文化を伝える「出汁の旨味」や、食欲をそそる彩りを重視します。
(2)介護施設:嚥下機能への配慮と個別対応
高齢者の皆様の健康維持のため、減塩であっても美味しさを感じられる工夫(香辛料の活用等)や、きざみ食・ムース食といった形態の適切さを厳しくチェックします。
(3)病院食:治療を支える厳格な管理と満足度
治療の一環として、個々の病態に応じたエネルギー量や塩分管理がなされているかを確認しつつ、入院生活の楽しみである食事の満足度を高める「盛り付け」を追求します。
(4)保育園・幼稚園・認定こども園:味覚形成とアレルギー管理
一生の味覚の土台を作る大切な時期であるため、素材本来の味を活かした薄味であるかを確認します。また、乳幼児の咀嚼力に合わせた具材の大きさ、そして何より食物アレルギー対応食の除去・代替が指示通り完璧になされているか、安全面での最終確認を徹底します。
まとめ:一膳に責任を持つ、徹底した検食体制を
検食は、日々繰り返されるルーティン業務のように思えるかもしれません。しかし、その一口と検食簿への丁寧な記録こそが、事故を防ぎ、利用者に笑顔を届ける原動力となります。






