クックチルで給食をおいしく効率化!委託給食との組み合わせ方とは?

クックチルとは、加熱調理した食品を急速冷却し、チルド状態(0℃~3℃)で衛生的に保存する調理システムのことです。事前に計画的な調理ができるため、大量調理の現場が抱える「業務の効率化」や「衛生管理の徹底」といった課題を解決する手段として注目されています。
この記事では、クックチルの基本から導入のポイントまで、以下の内容を詳しく解説します。
・クックチルの具体的な流れと2つの冷却方式
・導入するメリット
・知っておくべきデメリットとその対策
・「ニュークックチル」とはどんな調理方式?
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この記事の筆者・監修者

名阪食品お役立ち情報発信チーム
名阪食品の「お役立ち情報」の編集者。「すべては、お客様の健康で楽しく豊かな食生活のために」を理念に1日約7万食の給食を提供している。給食運営施設は学校・保育・高齢者施設・社員食堂と幅広く、お客様のお悩みや喜んでいただいた事例を発信している。
クックチル・クックフリーズとは?
クックチル・クックフリーズともに、加熱調理を施した料理を急速冷却して保存し、食事のタイミングに合わせて再度加熱して提供する調理方式のことです。冷蔵か冷凍かによって製造過程や保存期間が異なります。
クックチルとは
クックチルは、食材を加熱調理したのち、急速冷却機(ブラストチラー)を用いて約90分以内に0〜3℃まで一気に冷やします。その後、チルド保管で0〜3℃を維持しながら数日から1週間程度保存が可能です。冷却によって細菌の繁殖を抑え、安全に保存できます。
クックフリーズとは
クックフリーズは、食材を加熱調理したのち、急速凍結機(ブラストフリーザー)を使って-18℃以下まで急速に凍結します。凍結後は-18℃以下で保存され、数週間から数か月といった長期の保存が可能です。提供する際には、解凍と再加熱を行った上で供されます。
この方法の特徴は、長期間保存できる点であり、大量給食施設、さらには非常食や備蓄用食品の生産などに適しています。ただし、冷凍による品質の劣化が避けられない場合があり、解凍後に食感や風味が変化しやすいという課題もあります。
クックチルとクックフリーズの違い

導入するメリット
クックチル・クックフリーズを効果的に使用することで、生産効率の向上につながるだけでなく、味や品質を損なうことなく提供できます。
品質の安定
一般的な冷蔵食品・冷凍食品は、解凍時に水分や栄養が流れ出しやすく、風味が落ちることがあります。一方で、クックチルやクックフリーズは、急速冷却・凍結によって細胞組織が保たれるため、再加熱しても「作りたてに近い味・食感」を維持しやすいことが特徴です。また、調理師によって味にバラつきが出てしまう問題を避けられ、一定の品質を保つことができます。
業務効率化
現地調理(クックサーブ)で行う大量調理の現場では、早朝から下ごしらえを始めるなど特定の時間帯に集中して調理を行うため、調理師への負担や人員確保が課題でした。しかし、クックチルはすでに調理したものを再加熱する調理方式なので、大幅な調理の時短・効率化が期待できます。
衛生管理の徹底
調理後すぐに急速冷却や急速凍結を行うため、食品が危険温度帯に滞留する時間を最小限に抑えることができます。調理後の温度管理を徹底的に行えるため、クックサーブと比べて食中毒リスクが低く、衛生面で優れているといえます。また、保存状態が安定しているため、再加熱時に提供直前まで清潔な状態を保つことができ、衛生面で信頼される調理方式となっています。
知っておくべきデメリットとその対策
保管スペースの確保
クックチル・クックフリーズは、冷蔵・冷凍で保管する必要があるため、冷蔵庫や冷凍庫の容量が必要になります。厨房の広さを事前に確認しておくと良いでしょう。
献立のマンネリ化
クックチルには、揚げ物や炒め物など、不向きなメニューがあります。まとめて調理を行うためメニューがある程度固定され、バリエーションに富んだメニューの提供が難しい場合があります。高品質ながらも味が均一化されることにより、現地調理と比べると料理の工夫や細かな味の表現などが難しい点はデメリットと言えます。献立サイクルや新メニューの頻度などは事前に確認するのがおすすめです。
「ニュークックチル」とはどんな調理方式?
クックチルを応用した調理方式です。クックチルは、食事のタイミングに合わせて再度加熱して提供するのに対し、ニュークックチルはチルド状態で盛り付けをし、提供の直前に器ごと再加熱するという違いがあります。盛り付けた料理は専用の再加熱機(リヒートカートなど)でチルド保管し、直前に加熱されます。
盛付を事前にまとめて行えるため、アイドルタイムに盛り付けを行うことができ、調理現場の人員配置の最適化を実現でいることが最大のメリットです。例えば、朝食の盛り付けを前日の夜に行えば、人が集まりにくい朝の時間帯の人員を大幅にカットすることができます。調理後から提供まで「危険温度帯」を通さないため、食中毒リスクが大幅に減少するというメリットもあります。
一方で、設備として専用の再加熱機(リヒートカートなど)が必要であり、それに対応した食器なども必要であることから、設備投資が必要になる点には注意が必要です。
クックチルを活用しておいしく効率的な給食を
クックチルは、効率的に調理者の負担を減らすことができ、衛生面やコスト面にも優れた新しい調理方式です。大量調理の現場で効率化に悩んでいる方や、提供する食品の衛生面が気になる方には、クックチルがおすすめです。特に高齢者施設では人気も高まっています。
名阪食品では現地料理方式とクックチル方式を掛け合わせた「ハイブリッド給食」という新しい食事提供サービスの提供を行っています。クックチル方式の長所である効率の良さや味・品質の保持に加え、一部を現地調理することで創意工夫を凝らした料理や施設様に合わせた食事の提供が可能です。給食業務の効率化や改善にお悩みの方は、ぜひ検討してみてください。







