食育ピクトグラム「テーマ5 よくかんで食べよう」を詳しく知ろう!
農林水産省が推奨する食育ピクトグラム・テーマ5では、「よくかんで食べよう」という目標が掲げられています(※)。この背景には日本の食をめぐる環境の変化があり、咀嚼回数が減った現代人の食生活を危惧していることが伺えます。では、多くの方々の食習慣の一端を担う給食では、どのようなアプローチができるのでしょうか。
そこでこの記事では「かむこと」の現状とメリット・デメリットを見ていくとともに、給食から行えるアプローチ法をご提案していきます。食育に取り組む教育機関や介護施設などで働く給食現場の皆様の、参考になれば幸いです。
※また合わせて、サイト内におきまして「認定こども園・保育園・幼稚園 お悩み解決」に関する記載もご用意しております。是非ご参考下さい。
1.かむことについての現状
現代の日本人が1回の食事で咀嚼する回数は、約600回と言われています。一見すると十分な咀嚼回数のようですが、戦前は1回の食事で約1,400回、弥生時代にまで遡れば約4,000回もかんでいたため実際は激減しているのです。
かむ回数が減っている理由は、柔らかくて食べやすいものを好む、現代人の食生活の変化にあります。ハンバーグやスパゲッティーなど、現代は咀嚼回数が少なくても食べられる食事が増えています。忙しいときでも短時間で食べられることは利点ですが、その分さまざまな弊害も生じているのです。
たとえば、かむ回数が少ないと「肥満」の原因となります。これは、本来かむ行為によって満たされる満腹中枢に十分な刺激が行きわたらず、いくら食べても満足感が得られないことが一因と考えられるでしょう。
また、かむ回数の減少は「歯周病」のリスクも高めます。歯周病は口のなかで細菌が繁殖し、歯ぐきや骨に悪影響を与えるものですが、これらの抑止力となるのが唾液です。唾液はかむ回数が多いと増えるため、現代のかまない食事では効果的に増やすことができません。その結果、現代人の多くが歯周病にかかりやすくなっているのです。
さらに、かむ筋肉が鍛えられないことは、顎関節症や表情筋のたるみなどにもつながります。日々の食生活が健康状態だけでなく、見た目にまで影響する可能性があるのです。こうしたことから生涯を通じて健康に過ごすためには、子供から大人、そして高齢者にいたるまで十分にかむことを意識して食事を摂ることが重要だと言えるでしょう。
2.よくかむことは健康につながる!
咀嚼のメリット
よくかんで食事を摂ることは、私たちにさまざまなメリットをもたらします。
具体的には、次のようなメリットが挙げられるでしょう。
①食べ物の消化や吸収を促す
よくかむことで、アミラーゼと呼ばれる消化酵素を含む唾液が分泌され、食べ物の消化や吸収が促進されます。
②かむことは肥満防止やストレス解消にもつながる
十分にかんでから飲み込むと、満腹中枢が適切に刺激され肥満防止につながります。さらに、ゆっくりと時間をかけて楽しく食事ができれば緊張がほぐれ、ストレス解消にもなるでしょう。
③疾患リスクを下げる
かむことで分泌される唾液のなかには、がんや老化を防ぐ働きをもつ物質なども含まれています。そのため、よくかむことは、疾患リスクを下げることにもつながるでしょう。
④虫歯や歯周病を予防する
よくかむことで唾液の分泌量は増え、口腔内の細菌も減少します。そのため、虫歯や歯周病の予防にも効果的です。
⑤丈夫な顎をつくる
咀嚼回数が増えると、顎の筋肉などが発達して丈夫になります。発育期の子供では、歯並びが悪くなるのを防ぎ、かみ合わせが安定しやすくなるでしょう。
⑥脳を刺激して活性化させる
かむことは、脳にもよい刺激を与えます。そのため、高齢者では認知症の予防にもつながるでしょう。
なお、実際に食育を行う際はまず「1口30回かむこと」を意識してもらうような声かけが効果的です。右で10回、左で10回かんだら、左右を使ってさらに10回咀嚼するとよいでしょう。回数だと伝わりにくい方には、「飲み込もうと思う瞬間にあと10回かむこと」を提案するとわかりやすいかもしれません。「食べ物の形がなくなるまでよくかむ」とお伝えしてもよいでしょう。
また、早食いを防止するなら「食べ物を飲み込んでから次のものを入れる」「口に食べ物が入っているときは水分を摂らない」などの声かけも効果的です。「一口食べたら箸を置く」というのも有効でしょう。さらに、給食自体にかみ応えのあるメニューを提供することも、よくかむためのアプローチとなります。
3.かみ応えのあるおすすめの食材・料理
かむことを意識して食べる重要性を伝えることはできるものの、実際に習慣にするのはなかなか大変なものです。そこでおすすめしたいのが、給食で「かみ応えのある料理」を提供することです。次のような咀嚼回数が増えやすい食材を使えば、自然とかむ回数を増やすようなアプローチができるかもしれません。
など
食物繊維が豊富な野菜や弾力性のある食材を選ぶと、かむ回数が増えやすいでしょう。また、食材を大きめにカットしたり、野菜をできるだけ生で提供したりするとかみ応えのあるメニューがつくりやすくなります。切り干し大根など苦手意識を持つ方が多い食材は、ナポリタン風の味付けにするといった工夫を加えると受け入れられやすいようです。
また、かむ力や飲み込む力が低下している高齢者の方へは、かみ応えを意識しながらも食べやすいメニューになるよう工夫されている方も多いと思います。そこで名阪食品では「そふまる」というやわらか食を開発しました。これは素材の見た目や味を残しながら、歯ぐきでもつぶせるやわらかさを実現した食材です。
「そふまる」はかみやすい食事でありながら、食べ物を咽頭から食道へと運ぶ筋肉運動が起こりやすいため、食べることに必要な機能の衰えをゆるやかにすることが期待できます。こうした食材を組み合わせることで、食事を提供する年代に合わせた「かみ応えのある料理」の提供が可能になるかもしれません。
4.心身の健康を育む!
かむことに配慮した給食提供をサポート
食育ピクトグラムでも重視されているように、かむことは心身の健康に深く関係しています。
そのため名阪食品では、給食でも十分な咀嚼回数を確保していけるよう取り組んでいます。乳幼児から高齢者まで、それぞれの年代に合った味付けや食材を選ぶこともその一環です。また、食べる機能が低下しやすい方には「そふまる」など飲み込みやすい食材も開発してサポートしていきます。
かむことを意識した給食を提供したい就学前施設・介護施設の皆様は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
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