食材料費高騰に伴う補助金一覧(介護施設) 給食に適用される場合も

この記事では、食材費高騰の現状や、そのような状況を補助金により支援する自治体の取り組みについて紹介します。
近年の食材の価格高騰は、給食を提供する介護施設様や事業所様において、頭を抱える大きな問題でしょう。食事の質や量をキープしたいものの、運営を続けるうえでの苦渋の決断として、価格もしくは食事の質、どちらかを諦めてしまうケースもあるようです。食材費の高騰で悩まれている方は、ぜひご覧ください。
※また合わせて、サイト内におきまして「高齢者施設 お悩み解決」に関する記載もご用意しております。是非ご参考下さい。
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この記事の筆者・監修者

名阪食品お役立ち情報発信チーム
名阪食品の「お役立ち情報」の編集者。「すべては、お客様の健康で楽しく豊かな食生活のために」を理念に1日約7万食の給食を提供している。給食運営施設は学校・保育・高齢者施設・社員食堂と幅広く、お客様のお悩みや喜んでいただいた事例を発信している。
1.食材費高騰、介護施設の経営を圧迫
現在、円安やウクライナ危機などの影響により国内の物価高騰が起こっています。その結果、食材費が値上がりし、介護施設では提供する食事の質を確保することが難しくなってきているのです。
農林水産省が2022年8月に発表した「食品価格動向調査」では、野菜・食肉および鶏卵・魚介類・加工食品それぞれの食材に価格高騰が見られました。ここで、具体的な数字を確認していきましょう。
(1)野菜
野菜は調査対象8品目中5品目が平年比より価格上昇していることがわかっています。該当する5品目の価格上昇率は下記の通りです(※1)。
品目名 | ねぎ | たまねぎ | きゅうり | トマト | にんじん |
価格上昇率 | 103% | 150% | 107% | 114% | 102% |
野菜の価格が高騰する理由として、天候不良や異常気象などが考えられます。野菜は、天候により生育状況や収穫状況が大きく変化するからです。
なお、野菜の生育状況が悪く、収穫量が減少すると価格は上昇する傾向にあるのが一般的。これは、野菜は長期保存が難しく、供給量の変動が直接価格に影響することが原因として考えられます。
(2)食肉・鶏卵
食肉および鶏卵は、調査対象の5品目中4品目が平年比よりも高い数値となりました(※2)。
品目名 | 輸入牛肉 (冷蔵ロース) |
国産牛肉 (冷蔵ロース) |
豚肉 (ロース) |
鶏卵 (サイズ混合10入) |
価格上昇率 | 111% | 104% | 101% | 103% |
特に高い数値が示された輸入牛肉の大部分は、アメリカとオーストラリアからの輸入で占められています。価格上昇の原因として、昨今の円安傾向をはじめ、飼料費の上昇や人手不足、原油価格高騰による輸送費の増加などが考えられるでしょう。


(3)魚介類
魚介類では、調査対象の4品目すべてにおいて平年比よりも高い数値が出ています(※3)。
品目名 | まぐろ | えび | ぶり | さけ |
価格上昇率 | 119% | 105% | 109% | 121% |
魚介類の価格上昇の要因として考えられるのは、原油価格の高騰や円安、漁獲量の減少です。また、ロシア産水産物の禁輸と物流網の制限が影響したとも考えられるでしょう。
上記に挙げた以外に、加工食品でも価格上昇は顕著です。2020年の価格を100とし、調査時点の価格を指数化すると16品目中13品目で価格上昇が見られています。中でも食用油の上昇率は高く、キャノーラ油で148.3%、サラダ油で137.5%となっています(※4)。その背景には、原材料となる大豆や菜種、ひまわりの種、コメなどの原材料高騰があると考えられます。
2.介護施設に補助金を支給する取り組みが拡大
(1)群馬県渋川市
群馬県渋川市では、2022年における一般会計でおよそ1,540万円が予算として計上されました。入所•入居系63施設、通所系60事業所の計123ヶ所を対象に補助金が出されます。補助金の支給は、2022年9月中旬頃となる見通しです。
(2)宮城県仙台市
宮城県仙台市は、一般会計でおよそ2億5,470万円を計上。入所・入居系や通所系など計851ヶ所を対象としています。加えて、同市では高齢者向け配色サービス事業者に向けた補助金が支給されるなど活発な支援が行われているのです。
※その他にも、状況を公開している自治体があります。(東京都小平市等)
3.給食における補助金一覧
前述のように、群馬県渋川市では食材費高騰の影響を受ける市内高齢者介護・福祉施設などに、補助金を交付しています。ここでは同市を例に、どのような施設がどのような補助金を受け取れるのかを確認していきましょう。
区分 | 対象の事業所 | 1人当たりの補助金 |
入所・入居系事業所 |
護老人福祉施設 |
6,000円 |
通所系事業所 |
通所介護事業所 |
2,000円 |
施設あたりの補助金は、上記区分に応じた算出人数に一人あたりの補助金をかけた額になります。
入居、入居系事業所の場合、算出人数は対象事業所の2022年6月における一日あたりの平均利用者数から割り出されます。入院などにより事業所を利用していない人は除かれ、短期入所生活介護並びに短期入所療養介護は、空床利用者を除外します。さらに小規模多機能型居宅介護においては、宿泊サービス利用者数が算出人数に該当します。
通所系事業者の算出人数も、対象事業所の2022年6月における一日あたりの平均利用者数から割り出されます。小規模多機能型居宅介護では、通いでのサービスを利用する人数が該当しますが、同日に宿泊サービスを利用する人は対象外となるため注意が必要です。さらに、同一法人運営の市内入所・入居系事業所の入所者・入居者、もしくは宿泊者が同日に通所系事業所を利用する場合は、利用者数に含まれません。
4.補助金の活用で食材費高騰を乗り切ろう
食材費の価格高騰を受け、介護施設や事業所を対象に補助金を支給する取り組みが広がりつつあります。経営が厳しく給食の質や量を下げるという決断を下す前に、まずは自治体の補助金制度を確認してみてはいかがでしょうか。この記事が、施設利用者様が喜ぶ美味しい給食の維持に役立てば幸いです。

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【出典】
※1農林水産省「食品価格動向調査(野菜)」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/kouri/k_yasai/attach/pdf/h22index-99.pdf
※2農林水産省「食品価格動向調査(食肉・鶏卵)」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/kouri/k_gyuniku/attach/pdf/index-28.pdf
※3農林水産省「食品価格動向調査(魚介類)」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/kouri/k_gyuniku/fish/attach/pdf/index-10.pdf
※4農林水産省「食品価格動向調査(加工食品)」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/kouri/attach/pdf/gaiyou-22.pdf
その他参考サイト
株式会社官庁通信社2022年6月22日記事