給食費の値上げの状況|コストカットへの努力を紹介

物価高騰の波は給食業界にも広まっています。小学校の全国平均給食費も過去最高額になっており、給食費の値上げはやむを得ない状況と言えるでしょう。しかし、日常生活においても物価が高くなっているため、給食費を値上げしてしまうと、家計への影響も大きくなります。このような背景から、給食費を値上げする前に、コストカットを検討している施設も増えているはずです。この記事では、給食費の現状について確認したうえで、給食費の値上げに関する問題やコストカット方法について紹介します。
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この記事の筆者・監修者

名阪食品お役立ち情報発信チーム
名阪食品の「お役立ち情報」の編集者。「すべては、お客様の健康で楽しく豊かな食生活のために」を理念に1日約7万食の給食を提供している。給食運営施設は学校・保育・高齢者施設・社員食堂と幅広く、お客様のお悩みや喜んでいただいた事例を発信している。
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1.給食費値上げの状況
まずは、給食費の現状や給食費値上げの原因などについて見ていきましょう。
(1)給食費の現状とは
文部科学省が2023年1月に発表した「令和3年度学校給食実施状況等調査の結果」を参考に、給食費の現状について紹介します(※1)。
現在、国公私立学校の95.6%が給食を実施しており、2021年の小学校給食費の平均月額は4,477円、中学校では5,121円となっています。なお、2018年では小学校が4,343円、中学校が4,941円でした。微増ではあるものの、2021年の給食費は過去最高額になっています。
※1 第1表・第2表 文部科学省「令和3年度学校給食実施状況等調査の結果をお知らせします。」
(2)給食費値上げの原因

給食費値上げの原因として、まずはウクライナとロシアの紛争による影響が考えられます。ほかに、主要産地の天候不順などによる小麦粉・米・牛乳などの食材の卸価格上昇も原因に考えられるでしょう。そのため、おかずや汁物、調味料など節約できる部分を削って給食費の値上げを防いできた学校もありました。
そのほかには、揚げ物の頻度を週1回から月に2~3回に減らしたり、豚肉を鶏肉に変えたりといった工夫している施設もあります。
しかし、できることには限度があり、やむを得ず給食費の値上げをしている地域がほとんどです。2023年も値上げが相次いでいるため、次年度の調査ではさらに給食費が上昇していることが考えられます。
(3)支援策として無償化が進む

給食費を値上げすると、家計を圧迫することに。そのため、これまでは人口が少ない市町村などで行われてきた給食費の無償化が、都市部でも進んでいます。2017年度の調査では、給食費を無償にしていたのは76自治体と、全体の4%ほどでした。しかし、2022年には250自治体ほどまで拡大しています。半額補助や第三子以降無償など一部の補助を行う自治体も増えています。
たとえば、千葉県市川市では2023年4月以降、すべての公立小中学校、特別支援学校で給食費が無償化されています。
2.値上げを回避できない事情
できることなら給食費を値上げせず、栄養バランスの整った食事を提供したいものです。しかし、さまざまなものが値上がりしている今の状況では、それが難しいのも事実。「提供を続けるためには、給食費を値上げせざるを得ない」ケースも少なくありません。
値上げを余儀なくされる最大の理由は、給食には食育の側面もあるということです。給食は、多種多様な食材に触れ、味わい、生徒同士で会話をしながら食事を楽しむという経験をする場所でもあります。そのため、クオリティを下げるのが難しいのです。

ほかにも、給食費を値上げしないと以下のようなデメリットが生じると考えられます。
- 給食の質を確保できなくなる懸念
- 品数が少なくなる懸念
- 栄養バランスを考え食事を提供できなくなる懸念
- 子どもたちの成長に必要な栄養価を維持できない懸念
以上のようなことから、給食費を値上げしないと、栄養価が不足した質素な献立になりかねません。食育の実施も子どもたちの健康サポートもできず、給食の役割が果たせないことになるのです。
3.コストカットの方法3選
給食費の値上げはやむを得ないとしても、まだまだ物価の高騰は続く可能性が高いでしょう。むしろ、今は価格が落ち着く兆しが見えない状況です。ここでは、コストカットの方法を3つ紹介します。
(1)「どこで調理するか」を決める
コストカットを検討する際にまずしたいことは、現状の把握。調理の現場で、どれだけの人数でどういった作業をしているのかを見直しましょう。簡単な作業に多くのスタッフを使っていたり、逆に必要な作業に人数が足りていなかったりするかもしれません。
次に、どこで調理するのが最適なのかも検討しましょう。給食を提供する人数や量を考えると、施設内の調理施設で調理したほうが良い場合もあれば、委託先で一括調理したほうが良いケースもあります。もし給食調理を委託したほうが良いという結論に至った際は、委託先候補を複数選び、じっくり比較してから決めると良いでしょう。
(2)食数を見直す
次に見直すポイントは、施設でどのくらいの食数が必要なのかです。残食調査をしてみると、実際に必要な食数と現在提供している食数の乖離を確認できます。チェックする場合は、一般食や特別食、アレルギー対応食など食事の種類に応じて算出するようにすると詳しく算出できるでしょう。
食数の見直しができたら、食事の種類別に材料費を計算してみてください。一般的には、一般食も特別食も原価が同じくらいになることが理想とされています。
(3)クックチルの活用
病院や介護施設などの給食は、クックチルを活用するのもおすすめです。クックチルとは、調理後急速に低温冷却してチルド状態で管理可能な調理法を指します。細菌を繁殖させないように短時間で一気に冷却するため、安全性も確保されている調理法です。
クックチルを活用すれば、調理にかかる時間も厨房の確保に必要なコスト、人件費なども削減できます。
毎日クックチルを活用することもできますが、週に5日はクックチルを利用して残りの2日は調理師が作るという使い方も可能です。また、長期休暇中などにクックチルを活用すれば、スタッフの負担軽減にもつながるでしょう。
コストカットを考える際には、どうすれば美味しい給食を提供できるのかを第一に考え、クックチルなどの新しいサービスを上手く活用するのもおすすめです。(高齢者施設向けクックサーブ×クックチル給食はこちら)
4.工夫しながらコストカットを
食材費や光熱費の高騰など、さまざまなものが値上がりしています。家計の負担をかけず栄養バランスの整った給食を提供しようと考えると、どうしても給食費の値上げをせざるを得ません。
ただし、工夫次第でコストカットすることは可能です。給食を委託したり、クックチルを利用したりすれば、今よりも人件費や食材費を抑えられる可能性もあるので、ぜひ検討してみてください。
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