ムース食とは?対象者・ソフト食やミキサー食との違い・施設での提供ポイントを解説
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名阪食品
「ソフト食ってどんな食事?」「きざみ食やミキサー食とは何が違うの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
ソフト食とは、見た目や形をできるだけ保ちながら、舌や歯ぐきでもつぶせるほどやわらかく調理した食事のことです。高齢者施設や介護施設では、噛む力や飲み込む力が低下した方への食事形態として広く提供されています。
一方で、きざみ食やミキサー食と混同されやすく、「どの利用者に向いているのか」「誤嚥リスクに違いはあるのか」と悩む施設担当者も少なくありません。
そこで本記事では、全国270以上の施設に1日7万食を提供する名阪食品が、ソフト食の特徴やきざみ食・ミキサー食との違い、施設で提供する際のポイントについてわかりやすく解説します。利用者に合った食事形態を選ぶための参考として、ぜひ最後までご覧ください。 この記事の筆者・監修者 名阪食品お役立ち情報発信チーム 名阪食品の「お役立ち情報」の編集者。「すべては、お客様の健康で楽しく豊かな食生活のために」を理念に1日約7万食の給食を提供している。給食運営施設は学校・保育・高齢者施設・社員食堂と幅広く、お客様のお悩みや喜んでいただいた事例を発信している。
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ソフト食とは、噛む力や飲み込む力が弱くなった方でも食べやすいように、やわらかく調理した介護食のことです。「やわらか食」と呼ばれることもあります。
なお、「軟菜食(なんさいしょく)」や「軟食」と混同されやすいものの、軟菜食は素材の形を残したままやわらかく調理した食事、軟食は主食をおかゆや軟飯にした消化に配慮した食事(病院食の区分)を指す言葉であり、いずれも厳密にはソフト食とは異なる食形態です。
ソフト食の大きな特徴は、舌や歯ぐきで押すだけで潰せるほどやわらかい一方で、見た目はできるだけ普通食に近い形を保っている点です。
やわらかく調理したうえで、見た目は元の料理の形に近づくよう仕上げる(必要に応じて一度つぶし、形を作り直す)ため、「介護食らしさ」が出にくく、食事への意欲を維持しやすいとされています。
ソフト食は、加齢や疾患によって低下した「噛む力(咀嚼)」や「飲み込む力(嚥下)」をサポートするために提供されます。
咀嚼・嚥下機能が低下した状態で普通食を食べ続けると、以下のようなリスクが高まりやすくなります。
高齢者施設では、加齢や病気の影響で嚥下機能が低下している入所者も多く、利用者ごとに適切な食形態へ調整することが重要です。
その点、ソフト食は「安全に食べやすいこと」と「見た目や食事の満足感」を両立しやすい介護食として活用されています。
単にやわらかくするだけではなく、利用者が食べる楽しみを維持できる点も、ソフト食が重視される理由のひとつです。
ソフト食は、「普通食は食べづらいものの、ミキサー食やペースト食が必要な段階ではない」という方に向いている食事形態です。 具体的には、次のようなサインが切り替えの目安です。
ただし、嚥下機能の状態には個人差があります。実際の切り替えは、医師や歯科医師、言語聴覚士、管理栄養士などの専門職と相談しながら判断することが大切です。
介護食にはいくつかの種類があり、混同されがちです。ソフト食を正しく選ぶために、代表的な食形態との違いを整理しておきましょう。
それぞれの違いを順に解説します。
|
食形態 |
食材の状態 |
主な対象 |
飲み込みやすさ |
|---|---|---|---|
|
ソフト食 |
やわらかく調理し、料理の形に整える |
噛む力・飲み込む力がやや低下 |
高い |
|
きざみ食 |
細かく刻む(形は残る) |
噛む力が低下 |
中(誤嚥に注意) |
|
ミキサー食 |
ポタージュ状にすりつぶす |
噛む力がかなり低下 |
高い(むせやすさに注意) |
|
ムース食・ゼリー食 |
すりつぶして固め直す |
咀嚼が困難・重度 |
非常に高い |
それぞれの違いを順に解説します。
きざみ食とは、食材を5mm〜2cm程度に細かく刻んだ食事のことです。食材の形や食感がある程度残るため、見た目や食べごたえを感じやすいという特徴があります。
一方で、細かく刻んだ食材は口の中でばらけやすく、うまくまとめて飲み込みにくい場合があります。そのため、嚥下機能が低下している方では、むせや誤嚥につながることも少なくありません。
対してソフト食は、食材の形を保ちながらもやわらかく調理されており、口の中でまとまりやすい点が特徴です。比較的スムーズに飲み込みやすいため、きざみ食より誤嚥リスクを抑えやすい食形態として活用されています。
ミキサー食は、食材をミキサーにかけてポタージュ状(ペースト状)にした食事です。ほぼ噛まずに飲み込めるため、咀嚼が難しい方に向いています。
ただし、水分量が多いことでむせやすくなる場合があるほか、料理本来の形が失われやすいため、見た目から食欲がわきにくいという課題もあります。
その点、ソフト食は普通食に近い見た目を保ちながらやわらかく調理されているため、食事への満足感や食欲を維持しやすい点がメリットです。
ムース食・ゼリー食は、ミキサーにかけた食材をゼラチンや寒天などで固め直した食事です。口の中でまとまりやすく、少ない力でも飲み込みやすいため、咀嚼力や嚥下機能が大きく低下した方に適しています。
一方、ソフト食はムース食・ゼリー食よりも普通食に近い段階の食事形態です。
舌や歯ぐきでつぶしながら食べられるため、「できるだけ自分の力で食べたい」という方の食べる機能を活かしやすい点が特徴といえるでしょう。
介護食は、利用者の噛む力や飲み込む力の状態に合わせて、段階的に選択されます。
一般的には、普通食に近いものから順に、以下のような食形態へ移行していきます。
常食 → 軟菜食 → きざみ食 → ソフト食 → ミキサー食 → ペースト食 → ムース食・ゼリー食
中でもソフト食は、見た目を普通食に近づけやすい介護食と位置づけられます。見た目や食感を保ちながら、やわらかく食べやすい状態へ調整できるため、「できるだけ普段に近い食事を続けたい」という方にも取り入れやすい食形態です。
ただし、食形態は「常食に近ければ近い方が良い」というものではありません。重要なのは、その方の咀嚼力・嚥下機能・食事中の様子に合わせて、無理なく安全に食べられる形態を選ぶことです。また、きざみ食は「刻む」という加工方法であり、食材の硬さ自体は大きく変わらないため、嚥下機能が低下した方には必ずしもこの順番どおりに適するとは限らない点にも注意しましょう。
ソフト食を導入するかどうかを判断するには、メリットとデメリットの両面を理解しておく必要があります。
ここからは、ソフト食のメリット・デメリットについて、詳しく見ていきましょう。
ソフト食の主なメリットは、以下の3つです。
高齢者施設では、複数の入居者が同じテーブルで食事をする場面も少なくありません。
その際、見た目が極端に異なる食事ばかりになると、「自分だけ違う食事を食べている」と感じ、食欲低下につながることもあります。
その点、ソフト食は普通食に近い見た目を保ちやすいため、食卓の雰囲気を損ないにくく、入居者の満足感や食べる楽しみを支えることにもつながります。
ソフト食には見過ごせないデメリットもあります。それは、調理に手間と時間がかかることです。
形を保ちながらやわらかく仕上げるには、肉の筋切り、魚の下処理、長めの加熱、圧力鍋の活用など、食材ごとの丁寧な調理が欠かせません。
きざみ食のように単純に刻めばよいわけではなく、調理者の技術によって品質にばらつきが出やすいのも難点です。
この「手間」と「品質の標準化の難しさ」は、特に多くの食数を扱う施設で大きな課題となります。詳しくは施設でソフト食提供が難しい3つの理由で解説します。
「ソフト食」という言葉は介護現場で広く使われていますが、実は法律や制度で明確に定義された正式名称ではありません。そのため、施設や病院によって、やわらかさや提供基準に違いが出ることがあります。
こうした認識のズレを防ぐために、現場で参考にされているのが、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が定める「嚥下調整食分類2021(学会分類2021)」です。
ここでは、学会分類2021の概要と、ソフト食がどの段階に位置づけられるのかを解説します。
学会分類2021とは、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が公表している嚥下調整食の分類基準です。2013年版を改訂する形で、2021年9月に公開されました。
コード0・1・2・3・4の5段階で食形態が整理されており、コード0は嚥下訓練食品、コード1〜4は嚥下調整食に位置づけられます。
|
コード |
主な食形態のイメージ |
|
コード0 |
嚥下訓練用のゼリー状・とろみ状食品 |
|
コード1 |
ゼリー・プリン・ムース状の食品 |
|
コード2 |
ピューレ食・ペースト食・ミキサー食など |
|
コード3 |
形はあるが、舌と口蓋で押しつぶせるやわらかい食事 |
|
コード4 |
箸やスプーンで切れるやわらかさで、歯ぐきで押しつぶせる食事 |
この分類は、食事の「形態」を示すものであり、量や栄養成分までは規定していません。そのため、施設で提供する際は、食形態だけでなく、必要なエネルギー量やたんぱく質量を確保できているかもあわせて確認する必要があります。
なお、学会は「コード=重症度」ではない点も強調しています。重要なのは段階そのものではなく、利用者一人ひとりの咀嚼力や嚥下機能に合わせて、適切な食形態を選択することです。
参考:日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類2021
一般的にソフト食と呼ばれる食事は、学会分類2021の「コード3」に近い食形態と考えられます。コード3は、形はあるものの、舌と口蓋で押しつぶせる程度にやわらかく、食塊を作りやすい食事です。学会分類2021でも、コード3は「やわらか食」「ソフト食」と呼ばれることが多いとされています。
一方で、施設によっては、より普通食に近い「コード4」相当の食事をソフト食として提供しているケースもあります。コード4は、かたすぎず、ばらけにくく、貼りつきにくい食事で、箸やスプーンで切れるやわらかさが目安です。軟菜食や移行食と呼ばれる食形態も、このコード4に含まれることがあります。
また、市販の介護食品を選ぶ際は、UDF区分やスマイルケア食の表示も参考になります。UDF区分では、ソフト食に近いものとして「舌でつぶせる」「歯ぐきでつぶせる」「容易にかめる」の一部が該当します。スマイルケア食では、噛むことに配慮が必要な方向けの「黄色マーク」が、ソフト食に近い区分として考えられます。
|
分類 |
ソフト食に近い区分 |
|
学会分類2021(食事) |
主にコード3、一部コード4 |
|
UDF区分 |
舌でつぶせる/歯ぐきでつぶせる/容易にかめるの一部 |
|
スマイルケア食 |
黄色マーク(噛むことに問題がある方向け) |
ただし、学会分類2021・UDF区分・スマイルケア食は、それぞれ作られた目的や基準が異なります。そのため、完全に一致するものではなく、あくまで目安として活用することが大切です。
施設で提供する際は、「ソフト食」という名称だけで判断するのではなく、実際のやわらかさ・まとまりやすさ・ばらけにくさを確認しましょう。
退院時や施設間で情報共有する場合も、「ソフト食」とだけ記載するより、「副食はコード3相当」「UDFでは舌でつぶせる程度」など、具体的な分類を添えると認識のズレを防ぎやすくなります。
参考:農林水産省 スマイルケア食、日本介護食品協議会 UDF
ここからは、ソフト食を調理する際のポイントを紹介します。家庭でも施設でもソフト食を用意できるように、基本を押さえましょう。
ソフト食を作る際は、もともとやわらかく調理しやすい食材を選ぶことで、食べやすさや安全性を確保しやすくなります。
たとえば、以下のような食材はソフト食に向いています。
一方で、以下のような食材は注意が必要です。
特に、口の中で水分が奪われやすい食材や、細かくばらけやすい食材は、むせや誤嚥につながることがあります。そのため、食材選びだけでなく、調理方法まで含めて工夫することが大切です。
ソフト食を作る際は、「形を保ちながら、舌や歯ぐきでつぶせるやわらかさ」に仕上げることがポイントです。
そのため、以下のような調理方法がよく用いられます。
きざみ食の場合は「細かく刻む」ことが中心ですが、ソフト食では食材の形を保ちつつ、口の中で崩れやすい状態まで調整する必要があることを覚えておきましょう。
汁物や水分の多い食事は、そのままだと口の中でばらけやすく、誤嚥につながることがあります。そのため、必要に応じてとろみを付け、飲み込みやすい状態へ調整します。
ただし、「飲み込みやすい」と感じるとろみの強さには個人差があります。とろみが強すぎると飲みにくさや食欲低下につながる場合もあるため、自己判断だけで調整するのは避けましょう。
実際の現場では、医師・言語聴覚士・管理栄養士などの専門職と連携しながら、利用者ごとに適したとろみや食形態を調整していくことが重要です。
ここまで読んで、「ソフト食が良いのはわかったが、施設で毎日提供し続けられるのか」と感じた施設運営者の方も多いはずです。実際、ソフト食の施設提供にはいくつかの課題があります。
そこで以下では、介護施設でソフト食を提供する際の課題と解決策について、詳しく見ていきましょう。
ソフト食は利用者満足度や安全性の向上につながる一方で、施設側には大きな負担がかかりやすい食形態でもあります。
特に介護施設では、以下の3つが大きな課題になりやすい傾向があります。
特に人手不足が深刻化する介護現場では、こうした負担が食事品質の低下や、厨房スタッフの疲弊につながるケースも少なくありません。
こうした課題への対策として注目されているのが、給食委託の活用や、クックチルを取り入れた調理方式への見直しです。
名阪食品が全国270以上の施設で給食委託を行う中でも、特にソフト食のような手間のかかる食形態ほど、「専門ノウハウ」と「仕組み化」の差が品質へ大きく影響すると感じています。
弊社では、ソフト食・やわらか食の自社ブランド「そふまる」を展開しており、見た目のおいしさと食べやすさを両立した介護食を提供しています。
また、現場負担を軽減する取り組みとして、名阪食品独自の「ハイブリッド給食」を採用しています。これは、事前調理・冷蔵保存を行うクックチルと、現地で仕上げるクックサーブを組み合わせた調理方式です。
この仕組みによって、ソフト食のように手間がかかるメニューでも、一定品質を維持しながら効率的に提供しやすくなります。
「食事の質は落としたくないが、現場負担も減らしたい」と考える施設にとって、給食委託や調理方式の見直しは、現実的な選択肢のひとつといえるでしょう。
最後に、ソフト食についてよく寄せられる質問にお答えします。
一概にどちらが安全とは言えませんが、誤嚥のリスクという観点では、口の中でまとまりやすいソフト食のほうが配慮されている場合が多いといえます。
きざみ食は食材がばらけやすいため、飲み込む力が弱い方では注意が必要です。詳しくはソフト食ときざみ食の違いを参照してください。
ソフト食には、市販のものもあります。レトルトや冷凍の介護食として、各メーカーから販売されています。選ぶ際は、UDF区分やスマイルケア食のマークを確認すると、食べる方の状態に合った商品を選びやすくなります。
ソフト食をいつまで続けるかは、嚥下機能の状態によります。リハビリや体調の回復によって普通食に戻せる場合もあれば、状態に合わせてさらにやわらかい食形態へ移行する場合もあります。定期的に専門職が状態を評価し、その時々に合った食形態を選ぶことが大切です。
ソフト食とは、料理の見た目をできるだけ保ちながら、舌や歯ぐきでつぶせるほどやわらかく調理・成形した介護食のことです。普通食に近い見た目や食感を維持しやすいため、「食べる楽しみ」を保ちながら、安全性にも配慮できる食形態として活用されています。
一方で、きざみ食・ミキサー食・ムース食などとは、やわらかさやまとまりやすさ、対象となる利用者の状態が異なります。そのため、「ソフト食」という名称だけで判断するのではなく、咀嚼力・嚥下機能・食事中の様子に合わせて、適切な食形態を選ぶことが重要です。
また、介護施設でソフト食を安定提供するには、調理負担・品質の標準化・コスト管理などの課題もあります。特に人手不足が進む現場では、給食委託やクックチルなどを活用しながら、品質と運営効率を両立させる視点が欠かせません。
利用者が「安全に食べられること」はもちろん、「おいしく食べ続けられること」も、介護食では大切なポイントです。ソフト食を正しく理解し、利用者一人ひとりに合った食事提供につなげていきましょう。
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